みゆきさん
みゆき さん      和装花嫁の部屋
綿帽子姿の私です。長い裾を持ってしずしずと歩いています。打掛の裾、文金高島田のお鬘は重く、帯も締め付けはきつくて狂う恣意ですが優雅に歩きます。
下は奇譚クラブのコラムの一部です。
『考えてみると大振り袖の花嫁姿には、女性のあらゆる感情が、込められている、といえるのではないでしょうか。満座の中で最も美しく着飾り、皆の視線を一身に集める晴れがましさと優越感は、誰よりも美しくありたいと願う女心を満足させずにはおきません。しかも同時にまた、かつらの重さ、重ね着。巾広の帯の締め付けによる、厚さ、息苦しさ、身動きの不自由さなど、女性のマゾさを満足させる条件も、そろっています。分厚い花嫁草履を履き、重く厚ぼったい裾をからげて、お仲人夫人に手をとられながらのヨチヨチ歩きには、ピチピチと、はねまわれない劣等感があります。加えて、これから男性に身も心もささげることに対するる期待と不安。嬉しさと恥ずかしさ。…
花嫁のつらいところは、首が痛くなる程、重い文金高島田の鬘と、息も詰まる程、体を締め付ける、金らん緞子の帯による、責め苦でしょう。外見の美しさとは逆に衣裳を着るものにとっては大変な重荷になっているのに、周りの人はうらやましそうに、「○○ちゃん、すごくきれいよ」などといって、ほめてくれます。花嫁ご本人を、ほめてくれているのか、衣裳を褒めているのかは、わかりません。たぶん、その両方でしょう。』